「どうなるか、じゃなくて
どうするかなんじゃないの?」

顔を上げると玲がニッと
笑って見せる。

玲は食べ終えた2人分の
容器を持って台所へと立った。
棗は膝を抱えて小さく蹲る。

どうするか、と言う選択肢は
今までになかった。

頭の中で玲の言葉を
繰り返しながらもすぐに
その答えは出なかった。


「お嬢様もジュース飲む?」

冷蔵庫を覗きながら聞いたが
返事がない。
振り返って再度棗を呼んだ。

「お嬢様…?」

蹲ったまま身動きしない棗に
心配になって駆け寄る。
揺すると規則正しい寝息が
聞こえた。

マジかよ、苦笑いしながら
組んだ棗の腕を解くと自分に
寄りかかるように倒れてくる。

「なんかの嫌がらせか、これ」

いい香りのする棗の頭に顔を
埋めながら一人でぼやく。
横抱きに抱えるとベッドに
棗を移した。


そうして穏やかな棗の寝顔を
見ながら今度は玲が深い
溜め息を吐いた。