「……淨弥君…?」

一体、何を考えているの?


「……おしまいっ」

淨弥君はあたしをゆっくり離し、頭にポンッと手を置いた。



「……もう、戻れ」

優しく微笑む淨弥君は、またあたしをドキッとさせる。


「風邪引くなよ」

そして大きくて綺麗な手で、あたしの髪をボサボサにした。



「……うん。淨弥君もね」

あたしがそう言うと、淨弥君はクスッと笑い、


「………あぁ」

と答え、あたしの頭の上から手をどけた。



あたしは立ち上がり、その場を離れる。

途中で一度後ろを振り返ると、ごろりと寝転がる淨弥君が見えた。



「……。」

淨弥君、すっごく、暖かかった。

……心臓が、ギューッと、締め付けられるような感じがした。

もう少し、あのまま居たかったと思う自分が、欲張りだと思った。



夜空を再び見上げると、月は雲で少し姿を隠していた。