「角島周辺に戻り、そこから走れば、開始時間には間に合うはずだわ。」

彼女はBRを発動させた。

「いざ行かん、青い海の角島海岸へ!!」

彼女の体は数十センチ浮き上がり、西方面に引っ張られる。

空間移動が始まった。

BR本来の移動とは違うことには直ぐ気がついた。

目の前に見えている景色が縦に分断された。次に横に線が入り、視界は4分割された。

4つの景色は同じように、縦・横に分断され、視界は細胞分裂のようにどんどん細切れになってゆく。

その中央に彼女は吸い込まれて行く。

「あ、やばい。もしかして、エリアが壊れている・・・?」

彼女が予想したとおり、BRはレジスターが著しい磨耗により、壊れており全く予期せぬ場所に飛ばされて行こうとしていた。

今まで正しいBRの使い方をしなかったため、北海道や東京、一番遠くて、アメリカで発見された部員も居た。

運良くばれずに何食わぬ顔をして帰って来る者もいたが、帰る手段が見つからず、数日間会社を休む者もしばしば見受けられた。

彼らは勿論ハイセキュリティエリアにぶち込まれて、深く反省するのであった。

果たして彼女はどこへ飛ばされてしまうのか。