タクシーを降りると、そこはどう控えめに表現しても古いアパートで、そこをあえて表現するなら、老朽化して朽ち果てる寸前の指一本で崩壊してしまいそうな建物だった。「ここに住んでるの?」って聞いたら、特に何でもなさそうに、「ああ」と言って、鉄製の階段を一人で登っていった。