校門へと歩く棗を瑠璃は
早足で追う。
心配そうに棗の顔を
覗き込みながら、怒ってます?と
聞いた。
棗は少し歩調を緩める。

「ホントに会長さんは
違うんですか?」

端正な顔を歪めて
棗は瑠璃を見た。

「違うというか、嫌なんだけど」

棗の答えに瑠璃は
声を立てて笑った。
でもいい感じでしたよ、と
言われて何がどういいのか
わからない棗は首を捻った。

「…彼の色はまた今度見るから」

瑠璃は慌てて首を振る。
もう充分です!と焦って言った。

「話さなきゃいけないなんて
緊張するし…」

瑠璃の緊張の色を思い出して
棗は小さく笑った。
それより、瑠璃が言葉を続ける。

「よかった、仲直りできて」

言って瑠璃は棗の腕に腕を
絡めてきた。

目を丸くしている棗を見上げて
瑠璃はえへっと笑顔を見せる。
その笑顔につられて棗も
笑顔になった。