目の前で起きた大惨事寸前の事故に、ハルカは青ざめる。

「大丈夫か?ハルカ」

手を差し伸べる俺にも。

「う…うん…大丈夫」

いつもの気の強さを発揮する事なく、おとなしく手を握ってくる。

流石に一歩間違えれば大事故に繋がっていただけに、彼女も恐れをなしたようだ。

とにかく、これではっきりした。

このタワーの全てのシステムは、いつ、どんな異常が発生するか分からない状態だ。

エレベーター、エスカレーター、照明にいたるまで。

こちらの予想だにしない事故に繋がる恐れがある。

細心の注意を払う必要があった。