こいつは今の状況がわかっていないのだろうか。

とにかくまともに相手している暇はない。

「話はここから出てから聞いてやるよ」

俺はさっさと立ち上がって歩き始める。

「ち、ちょっと!待ちなさいよ!」

慌てるようにハルカも俺の後を追ってきた。

「ねぇ、何があったのよ、説明なさいよ」

スタスタと歩く俺の後を、同じくペタペタと裸足で追って来るハルカ。

「さっきの非常警報を聞かなかったのか?」

俺は顔だけ彼女に向けて言う。

火事か、それとも別の何かか。

このタワー内で何か異変が起きたのは間違いなさそうだった。