『今日はクリスマスですよ』

別れ際の亜季の言葉が頭に浮かぶ。

『露と答えなさい』

『君にとってあまりいい結末を迎えないだろう』

『けして葉野くんを責めないでやってほしい』

緒方教授の言葉の意味を考えた。

すると達郎の瞳に輝きが宿った。

それは真実を見出ださんとする光に見えた。

しかしその輝きが増してゆくごとに、達郎の顔は険しくなっていった。

『今日はクリスマスですよ』

再び、亜季の言葉が頭に浮かんだ。

『こんな日に嫌な気分でいたくありません』

そう告げた亜季の瞳にはクリスマスがはっきりと写っていた。

彼女はクリスマスを楽しみにしていたのだ。

「だったらなぜ…」

缶コーヒーを握り締める手に力が入る。

達郎は舌打ちした。