女生徒は玲に気付いて
笑顔を見せる。
大きいエメラルドグリーンの瞳
厚め唇、パーマのかかった
栗色の髪は光にあたって
金色に見えた。

女生徒は棚から降りて
玲に駆け寄ると首に抱きつき
身を寄せてきた。

香水の匂いが鼻腔を刺激する。
玲は校内で一番のお気に入りの
女の身体を抱きしめた。

「なんか玲くんと会うの
久々な気がするー」

甘えた声で女生徒は言う。
それに構わず玲は頬や耳に
キスの嵐を降らせた。

何か言おうとした女生徒の唇を
自分の唇で塞ぎ深く口付ける。

手を髪の中に潜らせて
頭を自分の方へ引き寄せた。

しばらくして唇を離すと女生徒は
頬を桃色に染めて玲を見た。

しっかりと化粧の施された
ぱっちりした瞳を
じっと玲も見つめる。

無言で見つめてくる玲の名前を
不思議そうに女生徒が呼んだ。

「どうかした?」

声を掛けられて玲はハッとする。
同時に気乗りのしていない自分に
気づいて思わず苦笑いした。

「…今日はやめとく」

踵を返した玲に女生徒は思わず
ブレザーの裾を掴んだ。
なんで?と縋るように呟く。

掴まれた手を優しく外しながら
気が乗らないから、と
平然と玲は答えた。