人気のすっかり無くなった放課後の校舎は静かで。



「どういうこと?」


「えっ?」


「優羽が部活休んでる理由よ」



階段の踊り場の壁に追い詰めるように立たせたマネージャーは、苛立ったような顔付きでわたしを睨みつける。



優羽に接するときとはまるで違う……。



「わたしは何も……」



優羽との恋人ごっこに浮かれて部活のことなんてすっかり忘れてた。



もしそのことで責められてるのだとしても、これはわたしと優羽の問題だ。


例えマネージャーでも口を挟まれたくなんてない。



「今までどんな女の子と付き合ってても、優羽が部活を休んだことなんて無かったのに」



この間の練習試合から一回も部活に出ていない。




独り言のように小さく呟いた声に思わず目を丸くしてしまう。



だって、試合の次の日はわたしと優羽が恋人ごっこを始めた日。



あの日からわたしたちは毎日一緒に放課後を過ごしてる。



だとしたらこの人の言う通り。


優羽はわたしと恋人ごっこを始めてから一度も部活に行ってない……。