暖炉のあるリビングは
木を基調にした
温かみのある雰囲気だ。

いつ来ても家より落ち着く。

ふと棗はソファーの下で
蠢く何かに気が付いた。

「…猫だわ!」

屈むようにして覗くと
下でまだ小さい子猫たちが
じゃれあっていた。

真っ白に、白に黒ぶち、
全部で四匹いた。

一匹が飛び出してくる。

その子猫だけは真っ黒の身体に
金色の美しい瞳をしていた。

闇の色を持つ玲の顔が思い浮ぶ。

その瞳に見つめられた時のことを
思い出し棗は首を振った。

棗はそっとその猫を抱き上げる。

「あんなやつと一緒にしたら
かわいそうよね」

それに答えるように
子猫はミャアと鳴いた。