あたしはしばらく動けなくてベッドで微睡んでいた。


ふと気が付くとベッドサイドにテーブルが用意されていて、そこにはボジョレー・ヌーボーとチーズとクラッカー、あたしの大好きな苺があった。



「昨夜ゆうと飲もうと思って用意してたんだけど…昼間のボジョレーでもいいかなと思ってさ。さあ、乾杯しよう。」



成瀬さんはあたしをベッドに座らせたまま、ボジョレーが注がれたグラスを渡した。


「…乾杯。」


グラスを合わせ、今年の新酒を口に含む。


酸味の少ない軽い口当たりの香り高いボジョレーが、熱い逢瀬で渇いた喉をゆっくり潤していく。


「…美味しい…」



「うん、今年のはなかなかだね。ゆう、苺食べる?」


成瀬さんはあたしの口元へ苺を差し出した。



出会ったあの夜のように、あたしは彼に苺を食べさせてもらう。


ボジョレーの香りと甘い苺が口の中で溶け合う。


余りの美味しさに笑みが漏れた。


「それ…美味しそうだね。」


成瀬さんはあたしの頬を両手で挟み唇を重ね、口の中を味わうかのように舌を入れてきた。



「…ん…美味しい。もっと味わいたい。」



成瀬さんはあたしに苺を食べさせては、それを繰り返す。



あたしは体に巻き付けていたシーツがはだけていることも忘れ、甘い苺とボジョレー・ヌーボー、彼の舌を求めた…