「金子!てめぇ、逃げんじゃねぇ!!」


思いの外逃げ足の速かった金子は、すぐに俺の視界から姿を消した。


はなから追い掛ける気なんてないし、どうでもいいけど。


走ってまで弱い金子を殴る意味が全く感じられなかった。



「バカらしい」


あんな奴に散々バカにされていた自分が情けない。


あいつにイジめられたことは、生涯の汚点になりそうだ。


俺は一度大きく溜息を吐くと、学校を後にした。