「そろそろ帰るか?もう遅いし、家まで送ってく」


「うん……」


あたしは勢いよく立ちあがった小林をベンチに座りながら、ぼんやりと見上げた。



見慣れた小林の背中。それなのに、今日はいつもより大きく感じる。


今まで、小林にこんな感情を抱いたことなんてないのに。


これは、ジェットコースター心理なの?


ジェットコースターやお化け屋敷でその感情の高ぶりを、相手が好きだと錯覚してしまうもの。


危ないところを助けられて、小林に恋している気になっているだけ……?


それとも……?


あ~もう!!自分の気持ちが全然分かんない。


「何してんだよ。早く行くぞ」


痺れを切らした小林があたしの腕をぎゅっと掴んでベンチから立ち上がらせた。


「ごっ、ごめん!!」


小林に触れられてる部分がジンジンと痺れて、胸が苦しくなる。


あたしは自分の気持ちに戸惑いながら、小林とともに公園を後にした。