野郎二人旅行。



車の助手席で高いびきで寝ているのは親友の嶋田清哉。



昨夜急に出かけようと俺に提案してきた男。



調子のいい奴で結局は俺を運転手に使うために誘ったんだろう。


おまけに今回は卒業旅行をしている女の子のグループが目当てだと俺にはわかっている。



面倒だった。



断ろうと思ったんだ。




だけど俺は奴についてきた。



それは行き先が滋賀だったからだ。





俺の名前の由来の土地。





歴史好きの父親につけられた名前は佐和。



戦国時代の有名な奸臣と言われる石田三成の居城佐和山城からつけたらしい。



奸臣だろ?


どうしてそんな奴の城の名前をつけるのか不思議だった。


というか不愉快だった。





だからか俺は佐和山と石田三成に興味を持ったんだ。



奸臣と伝えられている三成は本当は忠臣の中の忠臣と呼べる人物だと思った。


たくさんの文献を読み漁り、俺なりに出した結論だ。



だから俺は結構この名前を気に入っている。


さんざん女みたいな名前だとからかわれても名前を嫌いにならなかったんだ。









「おい!嶋田起きろよ。着いたぞお前の言ってた琵琶湖だ。」