「おはよ〜!」


「おはよう……」


教室に入る足取りがいつになく重たい。


全てはあの男のせい。


「明菜、どうした?なんかあった?顔色悪いけど」


「あ〜ううん。何でもない」


『他の奴らに俺のこと喋るなよ』


昨日、何度も何度も小林に念押しされた。


そんなに念押しされなくても、喋ったりしないよ。


あなたの鋭い目で睨みつけられたら何も言えなくなる。


あたしは蛇に睨まれた蛙状態だった。