「もう病院には行かないで。」



私は一言だけ告げて教室を出た。



むかうのは病院。


紫衣が眠る病室。




「こんにちは。」



「あら芽衣ちゃん、毎日来てくれなくてもいいのよ。」



「おばさん。紫衣は?」



「相変わらずよ。」



「そう....。」





ねぇ、紫衣。


どうして目を覚ましてくれないの?


ずっと待ってるんだよ。




紫衣の眠るベッドに近付いて彼女の手をそっと握った。


ピクリと彼女の指が動いて私の手を握り返してくれる。


弱いけどちゃんと応えてくれる紫衣。




「おばさん!!紫衣が......。」



私が叫んだ時には紫衣の瞼はうっすらと開きかけていた。



「紫衣!!目を覚まして紫衣!!」



叫ぶ私の横でおばさんはナースコールを押していた。



すぐにバタバタと廊下に足音が響いて部屋に先生と看護師が入ってきたんだ。