其処に突如現れたのは、

輝く銀色だった。



「いたぞ!取り押さえろッッ!!」


男の声に、何十人もの足音が応える。



銀色はそれを軽々と避けながら走っていた。


「砲撃ーーーーッッ!!」


野太く、よく通る男の声が暗闇を震わせる。


それと同時に、数箇所から赤い炎が吹き出した。


銀色はそれをも難なく避け、一点に向かって走り続ける。


「ここからは通さないよ、銀狐さん」


大きな鎌を持つ黒い影に道をふさがれ、銀色は急停止した。


「さ、いい加減大人しくつかまって?」


銀色はにやりと口元を吊り上げると、上着を大きくはためかせた。


すいっ、と宙に舞ったそれは、



次の瞬間には黄金に輝く月の光を背に受け、


一本の剣を構えて立っていた。


輝く銀色、



青年の名は、ルナ・ノクターン。




「お手柔らかに」

凛とその場に響く声と同時に、彼は地を蹴り舞い上がり、



敵の陣地へと飛び込んでいった。