「おい、聞いてるのかよ藤森!」

子供のそれとは思えない激しい剣幕に思わず足をとめる。

よく見ると男の子たちは1人の女の子を取り囲んでいた。

おびえたような上目遣いをしていたが、口は真一文字に結ばれており、男の子たちの慟喝にも泣き出すような素振りは見られない。

しかしその態度が男の子たちには気に入らなかったらしい。

「この!」

4人の中でいちばん体の大きな男の子が拳を振りあげた。

「ちょっとストップ!」

あたしはあわてて子供たちの輪の中に割って入った。

拳を振りあげた男の子が面食らった様子であたしを見る。

「なんだよおばさん」

おばさんって…!

失礼な、あたしゃまだ28だ!

しかし子供相手にムキになっても仕方ないので、ぐっとこらえる。

「あのね、男の子が女の子をいじめちゃダメでしょ?」

男の子は一瞬バツの悪そうな顔になったが

「だってそいつウソつきなんだもん」