マキコは、汗をビッショリかいている。
和夫は湿った彼女の手を押さえて、言った。

「これ、何か入っているのか?」

マキコは答えない。

「毒でも入っているのか?」

冗談だったが、マキコは黙ったままだ。

“毒か!”

和夫は、頭から氷水をぶっかけられた気がした。