何も纏っていない状態の私を抱えて、シャワールームへと進む拓海。



ふわりと鼻腔を掠めていく、ホワイトムスクの香りに心が踊っていく。



凭れかかっている胸の厚みも、しっかりと受け止めてくれる腕の力も。




何もかもが、先ほどまでの行為を瞬時に思い起こしていくの・・・




「っ・・・」


数え切れないほど見られて、すべてを知り尽くされているというのに。



あまりの恥ずかしさで、伏目がちに視線を逸らしていたのだけれど。





「蘭・・・?」


「・・・なに?」


「こっち向いて?」


「・・・っ」


愛するヒトからの“お願い”には、抗えナイように出来ている私。



ゆっくり視線を上げれば、待ち侘びたらしいブラウンの瞳と合致した。





「もう二度と、寂しい思いはさせないから…。

たまには我が儘言って、甘えてくれよ…?」


「っ…、っ・・・」


突然の優しい言葉と気遣いに、ツーと頬を伝う涙が止まらなかった。



晒された素肌に対しての羞恥心も、とうに忘れ去るほどだったの。




そうお互いを知って、学んで…、ずっと傍にいたかった・・・