頬を伝っていた涙が止まるほど、車内には重い空気が立ち込めていて。



密かな楽しみである、運転中の拓海の横顔すら一度も見れないまま…。





彼が怒っていると伝わる、荒っぽいアクセルの踏み具合。



隣で発しているオーラも、普段とはまったく違っていて。




「・・・・・」


朝とはまったくチガウ雰囲気が、心をグッと痛めつけていく。




すべて私が悪いというのに、謝罪の言葉も口に出来ないクセに。



此処でも俯いて逃げているのは、やっぱりズルいと思う…。



いつしか震えていた手で、ギュッと拳を作ってトキの経過を望んでいた。






暫くして、何処へ向かっているのが気になり、視線だけを車窓へ向けると。



ドクッと大きく波打って、鼓動が一段と早さを増してしまう。




近づくにつれて徐々に落ちていく、ランボルギーニの走行スピード。



対して私の心臓は、バクバクと煩いほどに心音を囃し立てていた。



先ほどの言葉が再び、心にズシッと重く圧し掛かっていくの…。




「っ・・・」



イヤ…行きたくナイ…、そう拒否をするかのように――