いまさら済んだことに、とやかく言っても仕方がない。いくら思い起こしても結果は同じだ。
研究所に併設されていた軍の基地が張りぼてであったこと、もとより小さな基地に加えて祭典の警備で兵士が出払っていたことも奴の計画のうちだったのだろう。
研究所は私が誕生したことで、その成長に合わせて多くの施設を増設していった。しかし、それに伴う基地の増強までは行わなかった。
私の知る三百人に加え、秘密裏に行われていたクローン研究に関わる十数人以上があそこにはいたというのに、政府は誰にも知られていないと高をくくり警備を怠っていた。
ハロルドが思うように私に力があったなら、彼らを一人でも救えただろう。
武器の扱い、戦術、格闘、それらは十歳から学んだ。襲撃を受けるまでの五年のあいだに、私にそれだけの力が持てるはずもない。
今だからよく解ることだが、ブルー・ウェルナスは確かに優秀な兵士だった。彼の教えがなければ、私は逃げる事すら敵わなかっただろう。