それが事実であるならば騒ぎになってもおかしくはないのだが、彼が生業(なりわい)としている世界では公然の秘密となっている。

 傭兵であったことが不死となっても(おおやけ)にはならず、死ぬことが出来なくなったベリルは、それからも傭兵を続けているという訳だ。

 彼はいまひと仕事終え、数日ほど休暇を取って旅行にでもと計画を練っていた。

「やあ」

 そこに断りもなく唐突に向かいの席に腰を掛け、気さくな笑顔を向けてきた青年にベリルは眉を寄せる。

「初めまして。かな」

 軽いウェーブのかかった栗毛のショートに青緑の瞳は、まるで仲の良い友人のように屈託なくベリルを見つめた。