次にやってきたのは大きなショッピングモール。

洋介行きつけのお店は確認済みなので、そこへ迷わず突入する。


「あっこれとか良くない!?絶対似合うと思う!!」

「…なんだこの服は…」

「え、何って…重ね着するヤツだけど」



「けしからん!!」



何が!?

突然拳を握り締めた洋介に、あたしは一歩後退する。



「重ね着だと…!?ふざけるんじゃない!!Tシャツにジャージ!!これが最高のファッションなのだ!!ましてや同じような洋服を重ねて着るなど…!!」





「ハーイお会計してきますねー。あ、迷子にならないように動かないでねー?
迷子になったら放送で

“洋介さま~20歳の洋介さま~妹さんがお待ちです~”

っつーのを流すからねー?そのつもりでねー?」



「あっ悪魔だ…目の前に悪魔が見える…!!」


洋介が両目を隠すように腕を上げたのを一瞥して、あたしは選んだ洋服たち、それにバッグをレジへと持って行った。







…その後、洋介が迷子になったことは言うまでもない。