勇樹と一緒に過ごしていた夜のことだった。


♪ピーンポーン♪

玄関のチャイムが鳴った。


「誰だろ…こんな時間に」

私と勇樹は目を合わせた。

それから私は壁の時計を見ると、9時半を少し前だった。


「はぁーい!」

返事をしながら玄関へ行き、ドアスコープから覗いてみたけれど

真っ暗で何も見えない。


(おっかしぃなぁ…)



その時、何かを感じていたら

状況は変わったのだろうか…?



いや、たぶん

避けられない現実だったと思う。



全ては

私の優柔不断が招いたことだから…





私はこの日

千早人の心に傷を

そして

勇樹の顔に傷を



残した……。





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