体が闇の中を浮遊している。

天と地の感覚がなくなったまま、どこかへと向かっていた。


突然、視界が開ける。

真っ青な空、そして見知らぬ大地が目の中に飛び込んで来た。

強く光が降り注いでいる。


その光の眩しさに、私は逃げ出したい気持ちになった。

光がひどく厭わしい。

そんな風に感じたことなんてなかったのに、今は太陽の下にいることが辛くて堪らなかった。


夢を見ているのかもしれない。

世界に現実味がなく、五感が曖昧だ。


と、視界の端に何かが揺れ動く。

青く長い髪だった。


その髪は私自身から生えているもので、ぎょっとする。

髪を掴んだ両腕は、幼さの残る男性のものだった。


…これは私の体じゃない。

ようやく、そのことに気付いた。

私の意思とは違う行動をし、違うことを考えている。

これは、ユーゼロードだ。

ユゼの記憶や心が、私に入り込んで重なっているのだ。



風が吹いて、ユゼは嫌いな晴れ渡った空を見上げた。




この、広い大地に、ただ独り。