周りはどっと笑うけど、俺は笑えない。


面白くねぇし。


だけど、自然に視線は莱の方に向いている自分がいる。


たれ目の大きな目が弧を描いて、すごく柔らかい表情。


容姿とのギャップに、ちょっと可愛いと思ってしまって。


と言っても、まだこの時は“好き”だなんて感情を持っていなかった。




莱が気になり始めたのは、それから2ヶ月後のこと。


夜の学校がキッカケだった――。