誠人さんは朝、マンションへ行ってくれたんだけど、やっぱり本人でないと開けられないということで、まだ中には入っていないらしい。



だから、家の中がどんな状況なのかはわからない。



テレビとかパソコンとか盗まれてるような気がしたけど、先生が大丈夫って言ったからそう思うことにした。


きっとね、先生は不安だと思う。


でもこうして平気だよって言ってくれて、私を安心させようとしてる。



不安や恐怖を全部ひとりで背負って、私をラクにしてくれようとしているんだとわかる。



先生はどこまで優しい人なんだろう。






「あ、そういえば……花帆が直さんに会いたいって言ってた」



誠人さんは、ちょっと振り向きながら言った。