「直、あれ見えるか?」


先生がバスの窓から何かを指差した。


コンクリートでできた不思議な建物。



「トーチカって言って、戦争の時の防御陣地なんだって。俺も調べるまでは詳しく知らなかったんだけど…… グアムにはたくさん残っているらしい」




バスがトーチカという建物に近付いた。


私は言葉が出なかった。




先生も眉間にしわを寄せ、唇を噛み締めていた。




トーチカの上に置かれたゴミ。



ここで命を落とした人がたくさんいるであろう場所。



明らかに日本人が捨てたと見られるゴミ。



その様子を見たバスの中の日本人はみんな辛い表情をして、言葉を失った。