ぼくが 蕾を 置き去りに



『……ったく、疫病神だね
蕾が生まれて来てから
ろくな事ないよ』



違う、違う、違う、違う



蕾は悪くない



蕾は悪くない




やめろよ


もう やめてくれ


見たくないんだ


聞きたくないんだ







『楓


お前も この女に騙されてるの?』








「違うっっ!」




叫んで目が覚めた



そこは 自分の部屋のベッドの上



「………はぁ……」

息を吐き、上半身を起こすと


寝汗で背中に
Tシャツが張り付いてた



…………夢だ



何百、何千回 見たか わからない



昔の夢



時間を確かめようと

枕元のケータイに手を伸ばす


am2:14


寝てから30分くらいか……



忘れたい 忘れられない



ぼく と 蕾 の 過去