「うまく言えねぇけど

蕾は我慢してる…と思う

なんか……う~ん………

そうだな、無理に感情を殺してるみたいな………

あ~っ、うまく言えねぇ」



もどかしそうに 宙はバリバリ頭を掻いて


ご自慢のペンギンヘアが
少し乱れた



「我慢なんて、してない

……でも、どうして宙は私の事をそうやって考えてくれるの?」



一瞬、ビクッと宙は表情を固くして


長い間を置いてから


「………見てて…面白いから」



その答えを聞いて


ますます わからない


私を見て面白いなら


宙の笑いのツボは


特異すぎる



「いいから、蕾、早く飲め

そして帰って宿題やって

明日の朝、オレに見せろ」



「はい、はい」



宙に 急かされて

ストローに口をつけ

カップに残ってたキャラメル マキアートを一気に飲んだ




帰りのバスに揺られ

隣に座り窓の外を


ぼんやり見つめる宙の膝に


プレゼントの入った紙袋があって


きっと この中には


お兄ちゃんが失ったモノ
私が得られなかったモノが


詰まってる