鏡をにらみながら



水色のネクタイを首にかけ



いろんな結び方を試してみるけれど



あ~、出来ない………



壁にかかった時計を見ると



もう7時20分だし



鏡に映った水色のネクタイを見つめると


だんだん、どうでも良くなって



「いいや」



私は呟き



ネクタイをリボン結びして
部屋を出た




居間に出るとテレビはスポーツニュースをやっていた



キッチンから


トーストを乗せた皿を二枚持ったお兄ちゃんが出て来て



「蕾、なんだソレ」


なんか スッゴい モノ見たような


目を丸くして私を見た



「ソレって?」


私が訊き返すと


お皿をテーブルに置いて


「ネクタイ。
リボンじゃないだろ?」


なんとなく
ネクタイの締め方がわからないと言えなくて



「こっちの方が可愛いよ?」



お兄ちゃんは首を横に振り



「ダメ、ダメ
どれ、直すから」



私の前に立ち


首に手を伸ばし


ネクタイをシュッ……とほどいた