『なあ、三船』

突然名前を呼ばれて、驚いた。

なぜなら。

そこにいたのは、私が思いを寄せている、片想いの彼だったから。

そこにいたのは、同級生の『遠藤慎一』くん。

彼はなぜか、私に白い歯を見せつけるくらい大口を開けて。

爽やかな笑顔を、向けてくれる人だった。

『三船は暗い』

そう言われ、敬遠する男子が多い中で。

彼は私に唯一話しかけてくれる、貴重な存在。