「ウメスケ君、顔を貸して」

「へ……?」


突然の事にウメスケ君はきょとんとしている。顔を貸せと言われてドキドキでもしているのかもしれない。

顔を近付けてくれたウメスケ君にあたしは覚悟を決めて、頬にキスをする。

続けて桜太君にも同じようにキスをして。……女の子の悲鳴再来、かも。


「引き分けだから2人が勝者のようなものでしょ? だから2人にキスしただけ……じゃあね!」


だんだん自分で言っていて恥ずかしくなってきたから、

誰の言葉にも耳を向けずに走って行く。もう顔から火が出そうな勢い。

面倒だからしちゃったけど改めて考えてみれば、自分からするなんてやっぱり恥ずかしい。

走ったからと言うのもあるけれどまだドキドキしている。

桜太君よりも先に彼の家に戻るってのも変な話だから、何処かで時間潰そうかな。なんて。

もう誰もいない訳だしね。あーあ……ウメスケ君はこれで気が済んでくれれば良いんだけどな。