アリスとリルが話し込んでいると、そこにハニーと一人の女がやって来た。
眼帯をし、肌の露出が多い服を着ている。


「リル・イニーネ、アジトに戻りなさい。」


冷たく言い放つ女。
リルは口を開かずにただ黙ってその言葉に従った。



彼女は何を想っているのだろう。



リルの背中を見て彼女の言葉を思い出す。

“アリス、私はどこで間違えたのかな”


違う。間違ってなんかいない。
貴方は誰よりも苦しんでいるから。それがわかるから。


「アリス嬢、我々も戻りましょう。
これで奴らとは手が切れます故、そのお話をしに・・・。」


「リル!!!」


リル・イニーネは足を止めて振り返る。


「今から、貴方の心に刺さった棘を抜きに行くから。」


真っ直ぐと、地面に足をつき、アリスは言った。
リルは何も言わずにそっと笑って立ち去った。

その微笑みは僅かな希望のかけらなのか、諦めの表れなのか、アリスにはわからなかった。


「ハニー、行くよ。」


「何処へでしょうか?」


アリスは真剣な眼差しで口を開いた。






「エヴァ・イニーネを誘拐しに。」