「紫苑さんは?」


花束とケーキを莉緒に渡すと聞いた。



「あっ!忘れてた!紫苑さんが書斎に来てくださいって」



ヘヘッと笑いながら書斎まで案内してからいなくなった。



相変わらず、莉緒ちゃんは可愛いな。



小さい子供がいる母親には見えない。




トントン



ドアをノックすると中から返事が聞こえた。



書斎机を前に紫苑は電話中だった。



受話器口を片手で塞ぎ座るようにカイトに言う。



カイトは黒革のソファーに座って電話が終わるのを待った。