小さいころから私は、修斗の一歩後ろを歩いてきた。


手をつなげば、修斗が少しだけ前を歩く。


県の選抜に選ばれたり、サッカーで活躍ている修斗。


そんな修斗に比べて、私にはこれなら誰にも負けないってものがない。


なにを頑張っても、修斗に近づけない。


だから私は常に、修斗の一歩後ろを歩いてる。


修斗はよく私の髪を、くしゃっとする。


たぶん、小さいころによく私の頭をなでてくれたから。


泣き虫だった私。


泣くたびに、泣くなよ里穂って頭をなでてくれた。


それが今でも、残ってるんだと思う。


「はぁ~」


自分の部屋に入って、ベットに倒れ込んだ。


背中に抱きついたとき、髪をくしゃってやられたとき。


心臓がものすごいスピードで鳴りだした。