コンロの火を切りながら
その言葉の意味を考えてみた。




今になっても全く意味はわからないが
あの人ならば納得はできた。



(色気か。今も持ってないな…)


コーヒーをひと口すすり
天井を見上げて考えた。



僕はいつの間にか
あの人より年を食ったのに
まだ勝てる気はしない。



「人生勝ち負けじゃないのさ。いかに幸せと勘違いできるか。だ」

あの人はいつもそうは言ったが
僕はやはり幸せではなかった。




コーヒーを飲み終えた僕は
傘を指してコンビニへ向かった



(チキンラーメンでも食おう)


あのチキンラーメンの
安っぽい味がたまらなく好きだ


安っぽい。

とても良い響きだ。