ケータイ小説 野いちご

“俺様”大家の王国




だけど十郎さんは、ふっといつもの笑みを浮かべると、

「別に……大した事じゃないんですよ。

さあ、このままじゃ冷めちゃいますから。

……いただきます」
 
きちんと手を合わせて、綺麗な箸使いで食事を始めた。
 
はぐらかされた、と思った。
 
だけど、それ以上は追えない。

追っちゃいけない。

知りたいという意識の奥で、警報が鳴っていた。

危険、危険、もう近付くな……。
 
私は、曖昧に笑いながら、もそもそと食べ始めた。
 
どうしてだろう。
 
ミエロに邪魔された所為だろうか。

何か、調味料が足りなかっただろうか。

それとも、心の問題なのだろうか。

いつもよりご飯がおいしくないのは……。




< 129/ 534 >