陸隊は、片付けを始めた。

下山する油川兄弟はもう豆粒の大きさ位にしか見えない。



幸い大怪我をした部員はおらず、みな自力で歩けるようだった。

黒松田も崖の下から這い上がってきて足をひきずっている。

石井副調査役は部員に指示する。

「さあ、下山するぞ。バスは破壊されて無いから徒歩だ。」


皆ひどく落ち込み、元気が出ないので石井副調査役は八丁浜お亀サンバを踊って部員を元気付けようとしたが、どうにもならずすぐに無口になって歩くのだった。




華山からは海が見えた。

大きな夕日が海にずんずんと沈んで行く。



「僕らはいつも砂や泥にまみれて地面と洞穴しか見てなかった。本当はあんなに美しい、でっかくて真っ赤な夕日がこの華山からは毎日見えたのですね。先輩はこれから一体何処に行ってしまうんだろう・・・」


イナックスが泣きながら言った。

石井副調査役も黒松田も、みんなわんわんと泣きながら下山した。



第2章 終