「おおっと、この女がどうなっても良いってのか?」


柱の男まであと数メートルと言うところまで来て、

傍にいた40代程の男がやや楽しそうにセリルに言葉を投げる。

するとその言葉を更に強調するかのように、

ルシェを捕えている髭を生やした男が彼女に銃を突きつけた。

突きつけられたルシェは言おうとしていたであろう言葉を飲み込んでしまう。

それを見たセリルは攻撃する事をためらった。

今此処で自分が攻撃をすればルシェは死んでしまうだろう。

それだけはセイルの為にも必ず避けなければならない事。


「…………ちっ」

「ははっ! バカみたいな怪力も、此処では無力だな」


柱の男はまた楽しそうに喋った。すると柱から降りてセリルに話を持ちかける。


「この女を助けたいか? なら良い方法がある。これは取引だ」