『宅配便のおにーさん』




『んじゃ明日送るから、明後日何時がいい?』

「ん~と、明後日は午前がいいかな」

『はいよ~じゃまたね』

「はいはい。ありがとう」

「明後日荷物くるの?」

クンっと髪の毛が少し引っ張られる。首に息があたって恥ずかしい。

私はいま、海に抱きしめられながらお母さんに電話をしていた。

「うん」

あれから私の地区担当はあのおじさんだから、ちょっとだけ寂しい。でも今海が担当になったって、きっと恥ずかしいだけだから、いいや。

そんな事をぼんやり考えていたら

「楽しみだね」

と海が意味ありげにほほえんだのに私は気づかなかった。

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ピンポーン

荷物が来る日。

私はパジャマのまま玄関に向かった。


「はぁい」

ガチャ

「確認せずにでちゃだめですよっていつも言ってるじゃないですか」

「え!?」

なんで

「これだからいつもいつも心配でたまらないんです」

ここに

「少しは自覚して下さいね」

海がいるの!?

「なんで…」

わけわからんって顔で海をみる。

すると海はしてやったりな顔をした。


「担当の紺野さんがぎっくり腰になってね、前の担当の僕が呼ばれたんですよ」


う…久しぶりに見る海の制服姿に敬語。。。


「ハンコ下さい」

鼻血でそーです。

「あっ…はい」

「…もう一カ所、ハンコ欲しいんですけど」

「あっどこですか?」

「ココ」

そう言って海が極上の笑顔で指さしたのは海の唇。

「なっ!?」

「俺の専用ハンコがあるはずだけど?」

ニヤッと笑うその顔さえかっこよくて、

仕事とのギャップにドキドキして。

「早く…」






う~~~~~~~!!!!!


チュッ

「はい!!おわり!!ばいばい!!」

バタン



…宅配便のおにーさん。これからイロイロ大変そうです。


END