……何これ。



ひとり残された茶の間で、がっくり肩を落とす。



結局鬼虎が過去から来たのかどうかには決着がついたような、つかないような中途半端な気持ちなのは私だけ?


そしてあんな奴に一瞬でも心ときめいた自分が恥ずかしい、本当。



目をやれば畳の上に無惨に散ったしじみ、カラカラ回る扇風機。


庭を歩く二人を見てなんとなく、五百年前も今と変わらないこのうるさい蝉の声を聞いていたのかな、なんてどうでも良いことが頭をよぎっていった。