ケータイ小説 野いちご

【短編】生きる理由 ~プレステージNOA~


 そう言って、目の前のエスカレーターに乗り、次のフロアで降りる。



 メンズフロア?



「……いったい、何を見るの? 一香」



「誕生日プレゼント♪」



 一香は

 振り返らずに言う。



 続いて、エスカレーターを降りるボク。



 一香は、目の前にあるメンズ用の時計やアクセサリーを、楽しそうに物色していた。



「コレ、素敵かも……」



「……」



 一香は、時計を1つ持ち上げて、ボクに見せる。



「コレなんかどう?」



「……うん、カッコイイと思う」



「あ☆ 見て、こっちもイイかも!!」



 別の時計を拾い上げて、一香はまた、ボクに見せる。



「……うん」



 誰の誕生日だっけ?



 共通の友達

 イズル以外にいた?



 聞いても、大丈夫だろうか?



 鼓動が、大きく胸の中を打ち始めた。



「……誰の、誕生日、だっけ?」





 一瞬の沈黙――





 一香は不思議そうに

 きょとん、と

 した表情でボクを見る。



 えっ!?



 心臓の音が更に激しく自分の耳に響く。




 ま、間違えた?




 一香は

 くす、っと笑い

 ボクに時計を差し出して言う。





「英朗のに、決まってるじゃない」





 時計を受け取ろうとした

 手が、一瞬止まる。





 身体中が

 凍りつくかと

 思った――





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