だってまだ同じ名前の戦国武将がいて、いや武将かどうかそういえば調べてないんだけど、まあ日本刀持っていて、時代錯誤な喋り方で、なんだか色々違和感を持っているみたいで……



なんともいえない。



「ま、それはまた明日聞いてみるからさ、取り敢えず思李としてはどう?」



しつこい兄に一瞥をくれてやってから、私は立ち上がる。



「限りなく真っ黒に近いグレー」


「あー、じゃあまあいい方か」



何がいい方かはわからないけれど。


兄にとってはまずまずの答えだったらしい。


でもどっちが白で、どっちが黒かわかってるのかな。



私もわかってないんだけどさ。



蛙の鳴き声は止まない、でも豚の中で蚊取り線香は寿命を迎えた。



なんだか長くて困り果てた人生で二度とないような一日が、いつもと変わらない夜で締めくくられてゆく。