ふうん、とだけ言いながら私を高い位置から見据える、そんな鬼虎に清麗なんて普段使わない単語思い浮かべた自分が恥ずかしい。


そんな鬼虎も兄に呼ばれて茶の間へと消えて行った。



虎にダイって一緒に風呂に入っただけで打ち解けるものなのかしら、男って。


まあ「継虎」も「大乃(ダイダイ)」ってうちの兄の変な名前もちょっと呼びにくい気もするし、裸同士の付き合いってやつか。



「思李、飯」



おたま片手に納得してたら、茶の間から見事に用件だけの言葉……いや鬼虎の命令が飛んできた。


私は家政婦じゃないっつーの。



そう思いつつもやる以外の選択肢がないわけで、私はお盆の上にお味噌汁のお椀と冷奴の器を乗せてゆく。



茶の間からは、テレビの音と一緒に笑いだした兄の声が聞こえてきた。