式典というものは、堅苦しくて好きじゃない。
 おまけに、生徒会長、なんて役職についているせいで、他の生徒より一仕事多いのだ。

「……では、これからの高校生活が有意義なものとなるよう、精一杯頑張ってください」

 前日、適当に用意した原稿を壇上で読み上げる。新入生の女子たちがひそひそ話をしているのも、いつもの事。
 この後は、確か新入生代表の挨拶だったかな。

 歓迎の挨拶を終え、壇上を降りた時に、呼ばれて待機していた代表の新入生と目が合った。
 日本人離れしたくっきりと整った顔立ちに、烏の濡れ羽のような、艶のある漆黒のショートヘア。
 驚いた事に、つい先日の美女である。


 さらに驚くべき事に、その美女は





 男子生徒の制服を着ていた。