まるでセリルが次に発する言葉を知っていたかのよう。


「何で……っ!」

「今この俺が答えられるのは1つ。ヒジリ、という名前だけだ」


突然の風にセリルは目を覆う。次に目を開いた時には既にヒジリの姿はない。

運よく会えたのに逃げられてしまうなんて、とセリルはショックを受ける。


“お前とはまた会えるかもな。お嬢ちゃん”


セリルただ1人が残った場所で、天から降って来たかのようなヒジリの声。

その言葉にセリルは喜びよりも先に怒りが湧いて出る。


「お、俺は男だって! これでも女顔なのは気にしてるんだけどな……」


その言葉が虚しく響き渡った。変な気分になったセリルは、部屋戻り眠りに就いた。


1.fear end.