《沙弥side》


「何も音が聞こえない…。」


いくら耳を澄ましても、
いっこうに物音は聞こえてこなかった。


「…恐ろしいな。」


金石はポツリと呟いた。


それはあたしも思った。


人間がいれば、
必ず何かしらの物音は立つはずなのに…。


―――今、あたし達は4階の高1の教室、
405教室にいる。


水華たちと別れた後、
とりあえず4階に向かった。


特に考えはなかったけど、
『最上階からいってみよう!』ってノリで……。


それだけで金石を連れて4階まで来た。


…少し懐かしい、4階。


4階は高1の教室がある階で、
あたし達高2は3階。


高1も金石と同じクラスで、
教室の中で友達を交えてよく鬼ごっこしたなぁ…。